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2/22、猫の日に、思いツイたお話があるよ、とばかりに
某所で言うと、書いちゃいなよ、と言って下さる方が!
嬉しくて、書き始めた猫アリス。

ずいぶんと遅くなってしまいましたが、
にゃんにゃん、言わせてみました。

はしやすめにどうぞ。
 


とろとろ、と微睡む。

夢を見る、直前。眠りに堕ちる、間際。


ほんの少しだけ浮上した意識と未だ目覚めぬ四肢で
自身を抱え込むように丸まって顔を埋めた。

もう少し、もう少しだけ。
こうして居たい。


口元に当たる柔らかな毛並みが心地よい―…。

―毛並み?

 


鼻先を掠った“手”の感覚、無意識に舐めあげていた。

―舐める?


舌先で…ざりっ。

―ざり?

 

常にない妙な感触に目を閉じたまま、再度顔を身体へと埋める。


丸まって、足の間へ鼻先を埋めると…尻尾がぴくんと跳ねた。

 


―尻尾??

 

  


「…っ!」


はっとして目を開く。


目が覚めきるまでの束の間、微睡みながら見る夢は酷く曖昧で
現実と夢との境界線すらぼやけた物になる事が多い。

学生の頃は高くなかった頻度も、三十路に近づくにつれ年々
上がっている様に思う。
酷い時は、それが夢だったのか現実にあった出来事であったのか
本気でわからなくなるほど。

それを認識する以前は、よく呆れられたものだ。

『こんな事、あったよなぁ』

呟く私を尻目に、どこか憐れむ様な呆れた様な視線を向ける
火村の反応にも、最近では慣れて来た。


―いけない。


そう思ってはいても、実際、判らない位あやふやな記憶があるのだから
仕方がない。

 

今朝もまた、然り。


―なんか、尻尾とかって…ありえへん。


舐めた舌先のざらつきも、埋めた体毛の感触も、張る尾の感覚も。

どれをとっても妙にリアルだった。

―どんなメルヘンやねん、俺。いい歳こいて…。

目が覚めてもなお、残るリアルな感覚に
一瞬、まだ夢の中かと訝しむも
見開いた視界に映るのは、見慣れた本棚で
間違いなくそこにある、いつもの景色に

ほっとする。

 

久しぶりに纏まった時間を得た私は、匂い立つ梅の香りに誘われる様に
我が火村准教授が住まう北白川へと足を運んだ。

『なんだ、アリス。久しぶりだな』
『ああ、ちょっと温かくなってきたからなぁ、梅でも見ようかと思って』

結局、帰るタイミングを逃した私はにわか下宿人となり、常備して居る客布団を
使い、泊ったというわけだ。
もっとも重い腰を上げる努力をしたという記憶は、今のところ…無いのだが。

視線だけを巡らせて気配を窺う。


隙間から陽光の洩れる隣の部屋からは火村の気配がしない。
寝汚い私に構うことなく、学校へと出掛けたのであろう。
枕元の時計は間もなく正午を知らせようとしていた。


―よくできた男やな。


突然やってきた私を追い返すどころか、厚くもてなし(ぶつぶつ文句は言っていたが)
遅くまでだらだらと飲んで絡む相手をし(心なしか態度は冷たかったが)
酔いつぶれて寝腐れる私を起こす事もしないで、自分はきちんと仕事へ向かう。

―長い、付き合いやしなぁ。


いや、そうではないのかもしれない、と思う。

付き合いが長いから、では無く
そんな火村とだからこそ、付き合いが長くなったのだと。

最近では、それこそ下手をすれば
家族以上に気の置けない存在ですら有る。

互いにいい歳、身を固めるどころか
とも考えたりするが、いかんせん、居心地がよすぎる。


―ま、それはお互い様、ちゅうやつやな。


心中で独り語ちると、伸びをして布団から滑り出た。

―ん?

 

視線が、どうもおかしい…気がする。
いや、気のせいでは無い。

 

あまりに低い位置から見上げる室内、異常に高い天井。


立ち上がる、というよりは…。

 

―足、足!!


呆然と見つめる足の先、小さく丸まった指から爪が飛び出ていた。

 


「に゛!?」


びっくりして毛が逆立ち、爪が飛び出たのだろう。

叫んだつもりも、潰れた啼き声が響くだけで。


「にゃぁっ!」

 

―言葉に、出来ない!


へぇんしん、とうっ!とか、回って飛んだら変身できるんか?
ねこ仮面、参上!
必殺、またたび拳法!?

いや、いや、待て待て。
どんなだ、そりゃ。

目に入った揺れるもの、おそらく尻尾を
身体が勝手に追いかけて、もちろん、追いつかず。

うわぁ、ぐるぐる回ってるよ、って
自分の尻尾なんだからあたりまえじゃ…。

あ、足音がしない!


などと、もはやプチパニックだ。

 

取り合えず、落ち着こうと深呼吸を試みる。

「な~、な~」


吸って、吐いて、をしてみるも漏れる声は紛れも無く「猫」


発声方法そのものが違うのか、掠れた様に漏れる「な行」の音に
頭を抱えたくなる。抱えたくとも抱えられないのだが。


―マジですか…。


頭を抱える代わりに力なくへたり込んだ(実際は伏せ状態)私は
あまりに突飛な状況に、これは夢なんじゃないかと思えて来た。

目が覚めた、という夢を見ているんじゃなかろうか。


その夢の中で、目が覚めたら猫になっていた、という設定なのではないだろうか。


―そうや、夢かもしれん!

(というか、夢であってくれ!)


境界線が曖昧な夢の究極版、超リアル夢。


そんな風に思う事自体が、混乱しているに他ならないのだが
救いを求める様に思考が「夢説」へと向かっていく。


―よし!


私の長所は切り替えが早いところ。
日本男児たるもの、思い切り、が良く無くてはいかん
とばかりに、今ある状況にマッハで馴染む。


そうと決まれば、確認しなくては。


視界に入る足先は明るめのチャに覆われた猫のものだが
果たして全身はどのような感じになっているのだろうか。

生憎、火村の部屋に姿見は無い。

あるのは壁に掛けられた雑誌ほどの鏡だが、これは
火村がタイを映したりするのに使う為、猫にとっては
高い位置に掛けられており全身を映すことは出来ない。

となると…。

―食器棚とか、あ、テレビ?

 

ガラス面なら映るだろうと、足音無く次の間に移動する。

その間に人とは違う視界に流れる
見上げた棚、高い扉。

まるで違う世界。


―これは、これでおもしろいけどなぁ。

 

食器棚は上の部分だけがガラス、下は…惜しいかな木の扉だ。
となれば、やはりテレビの画面か。

台所は諦めて、テレビ台のある部屋へと向きを変えた。

テレビが置いてある居間と言うかなんというか
生活の大半をそこで過ごす部屋は
午後になり、西日が差し始めている。

むろん、部屋全体が温かく、無造作にひかれた
座布団がとてつもなく魅力的に見えるのは
猫で無くとも…なんとやら。


―蹲って丸まりたい!


さっきまで寝ていたというのに、横になりたい欲求が襲う。
猫の身体に慣れていないせいだろうか。


とにかく、まずは全身を見たい。思いなおし、座布団を越えて
テレビへと近づく。
真黒の画面は平和な日常を映し、変わらない日常を切り取るだけ。

変わらない筈の日常、変わったのは。


―猫、やなぁ…。


じっと見つめる双眸は、くるんとして愛らしい。
ぴこん、と立った耳は意識すればピコピコと動く。
微笑んだ、つもりで口元をあげれば自然と漏れる…。

「なぁ~」


紛れも無く、猫の姿だった。

 
≫もう少し、続きまし。
 続きは後日。

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